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子供「だっせえ。」

他所に投下しようと思ったけどだらだら長いからやめたやつ。
台詞形式。書き溜め分だけ。



***


子供「痛、いっつ、あいつら無茶苦茶しやがって。はあ、とりあえず川で洗うか。シャツが血塗れだ。」

魔王「おうボウズ。こんな夜中にこんなところでそんな血の臭いをぷんぷんさせてやがったら、魔物が寄ってくるぞ。」

子供「ボーズじゃないやい。おっちゃんこそ、こんなとこで何してんのさ?」

魔王「おっちゃん、って。」

子供「おばちゃんではないだろ。」

魔王「まあ良い。見てわからんか。釣りだよ。」

子供「おっちゃん、こんなとこで悠長に魚釣りなんかしてたら、それこそ魔物の餌食だよ。」

魔王「俺は襲われないよ。」

子供「なんでさ。」

魔王「俺が魔王だからさ。」

子供「……」

魔王「……」

子供「……うっわあ。」

魔王「どうだ怖いか。」

子供「だっせえ。」

魔王「あ?」

子供「魔王の城が近いからってそういう安直なギャグはカッコ悪ィよおっちゃん。」

魔王「いやギャグではないのだが。」

子供「どう見てもおっちゃんは良く見積もって精々が旅のヒトだろ。」

魔王「悪く見積もったらなんだというのだ。」

子供「浮浪し……ヨメに逃げられた不良労働者?」

魔王「誰が浮浪者か。」

子供「後半も否定しろよおっちゃん。」

魔王「お前こそ、こんなところで何をしているんだ。」

子供「あー……。川で洗おうと思って。服とか。カラダとか。転んじゃって。」

魔王「随分と器用に転べるものだな。その腕のは、どう見ても刃物傷だが。」

子供「ああ、うん、転んだ先にナイフがあったんだよ。そういうことにしてくれよ。」

魔王「古い傷や痣もあるようだが。」

子供「頻繁に転ぶんだよ。いいだろ別に。石って投げられると痛いとか知らないよ?ほんとだよ?」

魔王「診せてみろ。」

子供「え。い、いいよ別に。嫌だよ。引っ張るなよ!わっ!?」

魔王「これでどうだ。」

子供「なにこれキモい。傷が塞がった。」

魔王「キモいとか言うな。」

子供「何やったの、今。」

魔王「簡単な治癒魔法だよ。呪紋の書き方さえ覚えりゃ、魔力がヒトケタでも使える。」

子供「なんか破けてた服まで直ってるんだけど。」

魔王「サービスだ。」

子供「おっちゃんは魔法使いなの?」

魔王「魔王だよ。」

子供「だっせえ。」

魔王「ダサいって言うな。」

子供「でも、おっちゃんすげーな。ただのおっちゃんじゃないんだな。」

魔王「おう。畏怖しろ。敬え。」

子供「だせえ。」

魔王「だからそれ……。まあいいか。ところで、だ。これから村に戻るつもりか?確実に魔物と出くわすぞ。」

子供「この辺で野宿するつもりだったんだよ。」

魔王「いや帰るつもりでいろよそこは。」

子供「この辺の村に家無いし。これでも旅人なんだ。」

魔王「荷物は。」

子供「馬ごと野盗に盗られちゃった。てへ。」

魔王「八方塞がりじゃないか。」

子供「どうにかなるって。幸い、死守して手元に残った金貨が何枚かあるし、ね。」

魔王「村の宿屋に泊まるつもりだったのか。」

子供「宿屋なんかに泊まったことないよ。だってこんなナリだよ?こうやってふつーに他人と話すほうがふつーじゃないんだよ。」

魔王「なぜだ。」

子供「なぜって見た目だよ。これだよ?」

魔王「襤褸を着ていたが、直してやったじゃないか。」

子供「服の話じゃないよ。髪の色、見えてる?」

魔王「白に近い緑だな。」

子供「瞳の色は?」

魔王「黄色だな。」

子供「そーだよこんな人間がいるかよ。」

魔王「髪や瞳の色など個体差があるだろう。」

子供「そこは個人差って言えよ。……魔物扱いされるんだよ。」

魔王「はっはっは。こんな貧弱な魔物がいるものか。」

子供「うるさいよ大きくなれば大きくなるよってそういう話じゃないんだよ。それにこの耳!こんな尖った耳の人間なんていないんだよ。」

魔王「ああ、なんだ。ハーフエルフか。」

子供「ハーフじゃないよ1/4だよ。なのに引き継がなくていいとこばっかり引き継いだんだよ面倒くせえ。」

魔王「親は?」

子供「もういないよ。だから旅に出てきたんだ。故郷には、なんか居辛かったし。」

魔王「ほう。」

子供「もしかしたら、どこかに『ちょっと変わった人』くらいの扱いで自分を受け入れてくれる国があるんじゃないか、って。」

魔王「そういう国は見つかったのか?」

子供「まだ見つかってないからこーやって今日野宿するハメになってるんだ。……なんだよ魔物の子って。」

魔王「……今夜は冷えるぞ。」

子供「どこが魔物だっていうんだ!むしろ天使だ!いや女神だぞ!……って、そーだね。どうしようかなあ。毛布もローブもないや。」

魔王「屋根、貸してやろうか。」

子供「おっちゃん、ロリコン?」

魔王「誰がだ。……お前、メスだったのか。」

子供「胸見ながら言うなよ!しかたないだろ!飯だってままならないんだ、ココに脂肪なんかつくか!あと女性、レディと言え!」

魔王「嫌なら別に無理強いはしない。」

子供「……馬小屋の隅だってありがたいけどさ、おっちゃん家あるの?」

魔王「お前は本当に俺にどういう評価を……森の向こうだ。」

子供「はあ?森の向こうってそれこそ魔物がいっぱいいるじゃん。」

魔王「それでも俺の棲家なんだよ。代わりと言ってはなんだが」

子供「結婚とかはだめだぞ。会ったばかりだし。」

魔王「何を寝言を言っているんだ貧乳。そんな貧相な体に興味はない。」

子供「結婚と体は関係ないだろ。あと貧乳って言うな!」

魔王「俺の家にひとり、ぶっ倒れている人間がいるから、介抱してやってほしいんだ。」

子供「おっちゃん、さっきやったみたいに魔法でなんとかすればいいじゃないか。」

魔王「関係がややこしいんだよ。」

子供「おっちゃんの別れたヨメとか?」

魔王「その設定まだ引き摺るのか。」

子供「おっけー。わかったよ。そのくらいやるよ。で?おっちゃんの家までどのくらい歩けばいいの?」

魔王「その必要はない。」

子供「なんだよいきなり手なんか握って。やっぱりおっちゃんロリコンだからヨメに逃げられたん……うわっ!?」


***


魔王「ついたぞ。」

子供「目の前がぐるぐる回ってき、気持ち悪ッ。」

魔王「吐くなよ。おい、吐くなよ!うわっ。」

子供「足元が、柔らかい……!」

魔王「這いつくばるなよ……。」

子供「絨毯だ!ウチのと一緒!」

魔王「むしろお前の家がどうなってるんだ。おい跳ねるな。」

子供「足元ふかふかだとつい……。ここがおっちゃんの家?なんかあれだね。悪の城、って感じ。」

魔王「ま、まあな。」

子供「とくにあの髑髏と蝙蝠の装飾とか。だせえ。」

魔王「ほっとけ。」

子供「絨毯の趣味は認めてあげてもいいよ。ウチのと一緒!」

魔王「そっちの部屋に先程言っていた奴がいる。これを飲ませろ。」

子供「なにこれ。マズそう。」

魔王「回復薬だよ。飲ませりゃ全快するから、部屋のそいつにすかさず飲ませろ。」

子供「なにそれ。へんなの。おっちゃんは?」

魔王「別の部屋で俺はやることがあるんだよ。」

子供「ヨメに土下座?」

魔王「お前はどうしてもそのキャラ付けを俺にしたいのな。」

子供「そういうオーラが。」

魔王「ねえよ。……頼むぞ。部屋は好きに使っていい。温かい湯も用意しているから使うと良い。」

子供「わかった。ありがと。」

魔王「じゃあな。おやすみ。」

子供「うん。おやすみ。」

魔王「……」

子供「ちょっと!おっちゃん!」

魔王「なんだ。」

子供「なんだじゃないよ!ゆ、勇者サマだよ、倒れてるの!あの鎧売り飛ばすと相当高いよ!死にかけてるよ!」

魔王「おう。だからそれ飲ませて起こせ。」

子供「どこで拾ったのあんな有名人。」

魔王「いやあの」

子供「ははーん。わかった!ここで恩を着せておいて後でたんまり搾り取ろうって魂胆だな!?」

魔王「ああ。すごいな。全部違う。」

子供「おっけー片棒担ぐよ!まかせて!ワケマエはあとで相談しようね!」

魔王「……あー。」

子供「早速薬を飲ませて叩き起こしてくるよ!おやすみ!」

魔王「人選間違えたかな。おやすみ。」


***


子供「さーて勇者サマ、飲んでくださ……どうやって飲ませりゃいいんだろ。瓶のまま、は、こぼれるよな。スプーンもないし。」

勇者「うう……」

子供「……よし。ん、く。」

勇者「……。」

子供「マズい! 苦い!ちょっと飲んじゃった。ぺっ、ぺっ、」

勇者「こ、ここは……?」

子供「勇者サマ、目が覚めたんだ……覚めた『のです』ね!よかった……!」

勇者「貴女が助けてくださったのですね。」

子供「ああ、あの、口移ししたことは謝ります。今度は頭からぶっかけることにし」

勇者「なんとお礼を言って良いものか。貴女は、ここに囚われているのでしょうか。」

子供「へっ?いや、いえ、そういうわけではなくたまたま……そう、助けたのはむしろおっちゃんで」

勇者「貴女のおかげでもう一度魔王に挑めそうです。ありがとう。」

子供「人の話を聞かないヒトだね。」

勇者「待っていてください。必ず魔王を倒し、貴女を迎えに戻りましょう。」

子供「う、うん。それより、おっちゃんにもお礼を言った方がいいよ……ってあれ。行っちゃった。まあ……いっか……眠いや……」

子供「わーい……久しぶりの……ベッドだーい……」


***


子供「……すごい。気を失ったように眠ってしまった。朝じゃん。数分しか眠ってない感覚だ。」

魔王「おー。起きたかー。」

子供「おはようおっちゃん。なんか昨日よりボロボロだね。」

魔王「ああ、昨日ちょっとあれから運動してな。」

子供「真夜中に?」

魔王「夜の運動って言ってもそういうアレじゃないからな。誤解するなよ。」

子供「アレ?」

魔王「いや、いい。忘れろ。腹減ってないか?」

子供「そういえば、昨日の朝から何も食べてないや。」

魔王「そういうことは早く言え。メシの用意が出来てる。こっちだ。」


***


子供「う、わ!なにこのご馳走、どうしたの?」

魔王「ヒトのガキが何を食べるのかわからんからな。適当に見繕った。」

子供「すごいや。すげー太りそう!」

魔王「少しは太った方がいいんじゃないか?貧乳。」

子供「うるさいよ。食べていいの?あとで請求書とか出てこない?」

魔王「出さん出さん。それに、昨日お前はちゃんと働いただろうが。」

子供「勇者サマにお薬、ね。ちゃんと飲ませたよ。いただきます。あったかい食事なんて何ヶ月ぶりだろ。」

魔王「おう、ちゃんと全快してたな。」

子供「うん。でも吸い飲み、用意してくれれば良かったのに。無いから口移しで飲ませたよ。」

魔王「ぶふっ!?」

子供「きったないなあ。」

魔王「おま、お前、勇者に」

子供「しょうがないじゃん。大丈夫だよ。別に風邪とか引いてないし、虫歯もないから感染らないよ。」

魔王「お前の危機感はそこだけか……?」

子供「なにが?」

魔王「なんでもない。」

子供「?、おっちゃんは、ときどき変な自己完結するよね。そういえば、勇者サマは、あれからどうしたの?」

魔王「一旦体制を整えに村に戻ったよ。大方レベルをあげて再挑戦、てところじゃないか。」

子供「再挑戦、て何に?」

魔王「魔王に。」

子供「ああ、魔王の城が近いんだっけ。……そんなところにおっちゃんはよく住んでいられるね。」

魔王「近いも何も……。あー、お前はどうするんだ?」

子供「また旅に戻るよ。」

魔王「『ちょっと変わった人間、として受け入れてくれる国』か。見つかりそうか?」

子供「さあね。もしかしたら無いんじゃないかなー、って諦めかけてたとこ。」

魔王「お前、歳は幾つだ。」

子供「15だけど。」

魔王「近所しか探せていないのではないか?」

子供「馬鹿にするなよ大陸越えたよ。それに家を出てもう3年経ってるんだぞ。」

魔王「だが高々3年だろう。世界は広いぞ。もっと良く探せ。300年経って見つからなければ諦めろ。」

子供「……心が折れるよ。その前にまた、髪と顔を隠せるフード付きのローブをどこかで手に入れないとね。」

魔王「それならここのどこかにあるかもしれん。探しておいてやろう。」

子供「えっ、悪いよそんなの。」

魔王「最期に誰かに何かしてやりたい気分なんだよ。」

子供「さいご?」

魔王「……あー。いや。」

子供「まあ、くれるっていうならもらっておくけど、こういう部屋のシュミのひとの服だしなあ。」

魔王「こういうデザインに城を建てた前回復活時の俺を今超殴りてえ。」

子供「ん?」

魔王「いや、こっちの話。」


***


子供「ところでさ、勇者サマって、なんで魔王を倒すんだろう?」

魔王「は?」

子供「いや、魔王イコール悪、って言われてるけどさあ、具体的にどんなことをしたんだろ。伝説みたいにお姫様を拐ったわけでもないし。」

魔王「はあ、まあ、あんなポーッとした女、置いておいても面白くはないからな。」

子供「犯罪組織を作った……わけもないよね。あれは人間のやることだし。何やったんだろ。脱税?」

魔王「なんで魔王が人間の王に税金払わにゃならん。」

子供「だよね。じゃあなんで魔王は勇者に倒されるんだろう。」

魔王「魔王はそれ、その存在そのものが悪なのさ。魔王が存在している間、魔王の意志如何にかかわらずとも魔物が発生する。」

子供「魔物は魔王の命令の有無関係無く人間を襲うし、魔物の発生を止めるには魔王を絶つしかない?」

魔王「わかっているじゃないか。そのために勇者という魔王討伐システムがあるんだよ。」

子供「でも倒された魔王って、復活するよね。復活する度に倒されてるんでしょ?懲りないのかな。」

魔王「魔王の復活だって魔王本人の意志が反映されてるわけじゃねえよ。ただ勝手に復活する、復活したから倒される、それだけだ。」

子供「なんか可哀想だね。魔王って。それなら、昔、魔物の軍勢を率いて人間を襲ってきたのは、なんかまあ、わからないでもないね。」

魔王「今回に至ってはなんもかんも虚しくなったし、会話のできる配下は復活しねえし。ヒマだから城の周りをうろついたりすることだけが唯一の……」

子供「……?」

魔王「あ、いや、今回魔王が動かないのは何度も復活しては倒されたせいで、流石に気力も失せてるんじゃねーの、って話。」

子供「ふうん。」


***


魔王「……お前さ、もうちょっとここに留まる気はないか?」

子供「え?」

魔王「いや、旅を急ぐよな。気にするな。」

子供「おっちゃん、ここにひとりで住んでるんだっけ。」

魔王「ああ。俺だけだよ。棲んでるのは。」

子供「もうちょっとってどのくらい?」

魔王「だから気にするなって。」

子供「うん、まあ、ちょっとだったら、旅を休んでもいい気がするよ。だってほら、おっちゃん、ふつーに話できるし。石投げないし殴らないし。」

魔王「お前今までどんな……そうだな。勇者殿がしっかり俺を倒せるくらいになるまではまだかかりそうだからな。好きなだけいて良いぞ。よし。決まりだな。」

子供「ありがとう、おっちゃん。あ、その間、雑用とかやるよ。水汲みとか掃除とか草むしりとか。」

魔王「いいよ。気を遣うなよガキが。そんなもん、魔力でちょちょい、だ。」

子供「魔法って便利だねえ。」

魔王「覚えるか?」

子供「そんなかるーく。」

魔王「魔王直伝だぞ。どんなへなちょこでもそのへんの王宮魔導師を超えさせてやるぞ。」

子供「……おっちゃん、魔王自称とか恥ずかしくないの?」

魔王「……多少はな。」

子供「でも、ああいうのは、魔法の源にアクセスすることができるまでに5年くらいかかるんだろ。流石にそんなにいられないよ。」

魔王「わかってるわかってる。」

子供「難しい?」

魔王「いや、簡単だよ。お前はそこそこ素質もありそうだしな。その気があるなら明日からどうだ。」

子供「うん。やってみたいよ。おっちゃん。」


***


魔王「魔法、っつーのは、まあ、世界を構成している源に自分を繋げて、そこにある力を都合の良いように書き換えて引っ張り出すっていう技術だな。」

子供「小難しいよおっちゃん。そこに繋がるには、何年もシュギョーしないといけないんでしょ?」

魔王「そのへんは面倒だから今すぐ可能にしてやるよ。頭出せ。ちょっと下げろ。」

子供「アタマ掴むなよ!なにすん……ひっ!?」

魔王「吐くなよ。おい。吐くなよ!吐くなって!うわあ。」

子供「き、きぼちわるい。アタマん中掻き回されたみたいだ。」

魔王「また汚しやがって。どーだ。『わかる』か?」

子供「わかる、って何が……なにこれな、になにこれなんだこれは!」

魔王「それが魔法を使う奴が自分と繋げている場所だ。そこから必要な力を引き出しさえすれば」

子供「なんで、なになんの何!?うわー。知りたくなかった知識までいっぱい流れ込んでくるようー。まさか昆虫が出したみ」

魔王「うるせえ。ちょっと聞け。」

子供「あ、はい。」

魔王「あとそこから力は引き出しても知識は引き出すな。ちっせえ頭がパンクするぞ。」

子供「知りたくなかったよー……寝ている間に口の中に蜘m」

魔王「……必要以外はうまく閉じる方法を後で教えてやる。あとは引き摺り出した力の使い方だな。イメージしろ、としか言えんが。」

子供「こう?」

魔王「ただ漠然と妄想するだけじゃなくて……って飲み込み早えな。なんだそりゃ。風の壁か?」

子供「そうそう。これで石を投げらても、いや、石が降ってきてもぶつからないで済むね。」

魔王「あー……ついでに消滅も教えてやろう。こうしてこう、だ。」

子供「岩が真っ黒い霧に包まれて消えちゃった!」

魔王「こいつは石、や槍や矢はもちろん、龍族の火炎だろうが、人間の魔導師共の雷だろうが、容赦なく消す。無理だとは思うが試しにやってみろ。」

子供「こう?あ、ゲ」

魔王「言わせんよ。そーだな。吐瀉物がなくなったな。俺も永い間在るが上級魔法をそーやって使う奴を見たのは初めてだ。」

子供「おっちゃん、地味にすごいね。」

魔王「俺はお前がすごいと思うわ。ハイエルフの他に何が混ざったらそんなこと出来るんだ。なあ。」

子供「掃除が捗るね。」

魔王「ああそーだな。うん。」


***


子供「あ。鼻血でた。」

魔王「覚えたてで魔法使い過ぎなんだよ熱まで出しやがって死ぬぞ。」

子供「なんでおっちゃんが慌ててんのさ」

魔王「人間って脆いんだぞ馬鹿。ものすごく弱いんだぞ馬鹿。いいから安静にしろ。いいな。」

子供「大袈裟だなあ。」


***


魔王「……なんだこれは。」

子供「ガーデニング、だった、のかな?」

魔王「なぜ蔦に絡まって逆さに吊り下がっている……?」

子供「いやあ、庭が殺風景だったから、花でも植えようと思ってね!」

魔王「それで?」

子供「でもここに滞在中に咲くかどうかわからないからちょっと成長を早めてみようと思ったらね。」

魔王「ほう。」

子供「……助けてください。」

魔王「おう……。もーやるなよ。」

子供「あ、庭の西の方は行かない方がいいよ……。」

魔王「何してんだよ……何したんだよ……。」


***


魔王「……なんだこれは。」

子供「……料理、だった、のかな?」

魔王「小麦粉でゴーレムができちゃったかー……」

子供「砂糖と卵とミルクも入ってるんだよ!」

魔王「あと何をいれたらこうなるんだ?」

子供「焼いたら動きが止まるかな?」

魔王「恐ろしいことを言うなお前は。」


***


子供「うーん……うーん……」

魔王「おーい起きろー。恐怖と憎悪がだだ漏れてんぞー。」

子供「う、あっ……夢、か……。」

魔王「悪夢を見たか。」

子供「うん……。」

魔王「大丈夫か?」

子供「うん、大丈夫だよ。おとうさん。」

魔王「……」

子供「……」

魔王「……」

子供「あっ、なっ、何にやにやしてるんだよ!」

魔王「いるよなー。授業中先生にお母さんとか言っちゃう奴。」

子供「ちがっ、忘れろばかー!」


***


魔王「そこに二本線をひけ。」

子供「こう?」

魔王「そこじゃない。」

子供「ここだ!」

魔王「おい馬鹿やめろまず先にさっきの線を消」

子供「わー……綺麗に吹き飛んだねえ。テーブル。」

魔王「俺が教えてたのは回復の呪紋だった、よな?」

子供「回復どころか木っ端微塵だね。魔法、超怖え。」


***


子供「眠い、んだけど、眠れない。」

子供「なんだろう、あれ?剣戟の音?そうかこれがうるさいから眠れないんだよきっと。」

子供「……行ってみよう。」

子供「ばーちゃんのせいで耳だけはいいんだよね。」

子供「あっちかな。しかしだだっ広い家だなあ。」

子供「わっ。上から斧が降ってきた。ああ、ここの床が、こっちと連動してんだ。おっちゃんのシュミかな。かっこわるい。」

子供「……迷路みたい、だなあ。これで魔物とか出てきたら本当におとぎばなしの魔王城だよ。」

子供「でないけど。」

子供「ひゃっ!?……なにこれ、悪趣味だなあ。魔物の死体?ツクリモノ、だよね?あのおっちゃん、なに考えてんだろ。」

子供「そういえばずっと自分を魔王だっていうギャグとばしてたなあ。いい歳して恥ずかしいなあ。」


***


子供「あ、この部屋だこの部屋。」

子供「ねえ、おっちゃん眠れなー……」

子供「!?」

子供「うそ、でしょ?」

子供「おっちゃん?ちょっとおっちゃん!笑えないって言ったじゃん!勇者サマと戦って、るなんて、」

子供「おっちゃんが、勇者サマの首を……」

子供「あれじゃあ、まるでおっちゃんは、」

子供「……」

子供「…………」

子供「………………。」

子供「……夢だな。うん、ベッドに戻って寝直そう。」


***


子供「おはようおっちゃん。」

魔王「おう。なんだ?目の下に隈など作って。」

子供「昨日の夜、おっちゃん何してた?」

魔王「何って、いつも通りだが。」

子供「夜の運動?」

魔王「夜の、ってわざわざ付けるんじゃない。……そうだが。」

子供「そっか。なら良いんだ。ごめんね。また変な夢見ちゃったんだ。」

魔王「そうか。」

子供「うん。でも起きてみると馬鹿馬鹿しすぎて笑っちゃうような夢。よかった。夢で。」

魔王「良かったな。」

子供「ねえ、おっちゃん。」

魔王「なんだ。」

子供「背中、貸してくれない、かな。」

魔王「背中?構わんが。」

子供「……」

魔王「なぜ顏を背中に押し付ける……?」


***


子供「おっちゃん、このヒトだれ?」

魔王「あ?」

子供「このロケットの、鎧の女の人。」

魔王「ああ、こんなものがまだあったのか。」

子供「だれ?女騎士?触手に襲われる役のヒト?」

魔王「そういう知識をどこで仕入れてくるんだ。これはあれだよ。先の勇者だよ。」

子供「あー。魔王と同士討ちで死んだヒトか。」

魔王「身も蓋もない言い方を。そうだよ。魔王と心中した馬鹿な女だよ。」

子供「なんでおっちゃんさあ、」

魔王「なんだ。」

子供「逃げられたヨメのこと話すみたいな言い方するの?」

魔王「似たようなものではある、のか?」

子供「なにがさ。」


***


子供「この屋敷って、広いよね。おっちゃん、実は大貴族だったりするの?」

魔王「貴族どころか王様だが。」

子供「ハハッ」

魔王「おい馬鹿にすんな。」


***


子供「ねえおっちゃん、おっちゃんは好きなヒト、いる?」

魔王「いた、よ。」

子供「逃げられた?」

魔王「に、近いかな。」

子供「やっぱり。」

魔王「死別だよ。」

子供「あ、なんか、ごめん。」

魔王「……俺だけ復活しちまったのを死別っていうならな。」


***


子供「魔物だああああ!」

魔王「……」

子供「おっちゃんの顏見ただけで逃げた。すげーなおっちゃん!顔の怖さが魔物に認められた!」

魔王「おい。」


***


子供「髪がのびたなー。」

魔王「結ってやろうか。」

子供「えっ。」

魔王「座ってみろ。」

子供「う、うん。千切らないでね。」

魔王「……できた。」

子供「意外に器用。まえにやったことあるの?」

魔王「……大昔な。」


***


ここまで。
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