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恋の手ほどき6

つづき。さいご。


目を覚ますと、逞しい男の人が、わたくしの顔を見て、安心したように微笑みました。
とても長く眠っていたような気がします。
青空を見上げると、鳥が二羽、飛び立ちました。
白鳥と黒鳥。
仲睦まじい様子です。
あたりを見回すと、真っ黒な薔薇の花が、私の周りを取り囲んでいます。
わたくしはなんだかとても切なくなって、胸が締め付けられて、自然と涙が溢れてきました。
「一体どうしたんです姫様。」
男の人は、そんなわたくしの様子に驚いてしまったようです。
わたくしは謝罪してなんでもありません、と答えました。
男の人がわたくしの手を取り、そっと寝台からおろしてくださいました。
『手を握り、見つめ合えばわかる』
男の人の顔をまじまじと見つめると、男の人の目はわたくしの目と合いました。
なんだか気恥ずかしくなって、足元に視線を落とすと、一枚の手鏡が落ちていました。
鏡だというのに、それは何も映してはいませんでした。
それに気付いた途端、わたくしの目から涙が零れました。
落ちた涙が、墨の色の薔薇の花に落ちました。
はなびらが淡く光って真っ青に染まりました。
ああ、わたくしはとても大切なものを喪ってしまったことを知りました。
でも、どうしてもそれが何か思い出せないのです。
男の人の隣に控えていた真っ白な龍が、労わるようにわたくしの頬に擦り寄りました。
わたくしは、うまくこの方と、勇者様恋に落ちることができるでしょうか。
練習した通りに。


<完>
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genre : 小説・文学

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