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魔王「もてなしてやれ。丁重にな。」

勇者が魔王の城にのりこむ。




勇者「魔王めえ!離せ!首根っこ掴むなー!」

魔王「我が城に迷い込んだ雌鼠を一匹捕らえた。……側近。」

側近「はい。」

魔王「私は相手をしているほど暇ではない。」

勇者「……なんだって!怖気付いたか!ボクと戦え魔王!」じたばた

魔王「キイキイ煩い小娘だ。側近よ、お前がもてなしてやれ。」

側近「承知いたしました。」

魔王「丁重にな。」ぽいっ。

側近「心得ております。」

勇者「まずは君が相手というわけか!さあ、どこからでもかかって来い!」

側近「さて。このわたくしが魔王様直々に貴女の歓待を任されたからには、生半可なことは致しませんよ。」

勇者「のっ、望むところだ!」チャキッ

側近「そのように無粋なもの、わたくし共が預かっておきましょう。」

勇者「わっ!卑怯だぞ!武器を取り上げるなんて!くっ、流石は魔王の側近と言ったところか。でもボクは負けないよ!」

側近「ふむ、そういえば、その鎧や篭手も見目がよろしくありませんねえ。よし。ハウスキーパー殿。」

メイド「あい、側近様。」

側近「そちらのお嬢様のお召し替えを。」

メイド「かしこまりましてございますわ。さてみなさん、お仕事ですわ。」

勇者「ひっ!?女の魔物に囲まれた!」

メイド「あい、ハウスキーパー。こちらの色はいかがかしら。」

メイド「あらだめよ、そのような色、下品だわ。こちらのほうが。」

勇者「やめてよう!脱がさないで!やだあ!」

メイド「色は良いけれど、そのドレスのデザインは古すぎるわ。こちらにいたしましょ。」

メイド「地味すぎませんこと?でしたらこちらのほうが。」

メイド「あら良うございますわね!でも裾の刺繍はなんとかならないかしら。」

勇者「防具がー!防具が下着一枚だよう!」

メイド「みなさん。こういうのはいかがですこと?いっそ新しく作ってしまうのは。」

メイド「それがよろしいわ。」

メイド「そういたしましょ。」

メイド「素晴らしいわ!では早速……」

メイド「ちょっとお待ちになってみなさま。ご覧いただける?」

メイド「まあ!女性の肌なのに、このように傷がたくさん。それに、汚れが……。」

メイド「下着もなんだかあまり可愛らしくありませんわね。」

メイド「…………。」

勇者「拘束魔法!?避けられない!うわああん!魔物達が舌舐めずりしながらこっちくるよー!」

メイド「さあ、勇者様、お覚悟を。」

勇者「ぬわー!裸にされた!やめてー!」

メイド「まずは身体を清めますわ。」

メイド「わたくしは、傷の治療をいたします。」

勇者「くすぐったい!や、やだよう!」

メイド「髪を乾かしながら」

メイド「櫛で梳きますわ。」

勇者「あっつい!あっついよ!」

メイド「さあ、勇者様、やっとお召し替えですわ。」

メイド「生地はこちらのを。」

メイド「ではレースはこれですわね。」

メイド「ではこちらにリボンをあしらいましょう。」

メイド「金と銀の糸の刺繍はわたくしが。」

メイド「では宝石の縫い付けはわたくしがいたしますわね。」

勇者「ぐったり。」

メイド「それでは、この隙にお化粧を」

勇者「勇者は目の前がまっくらになった」

メイド「側近様、お召し替えが済みましたわ。」

側近「ほう。これはお美しい。ハウスキーパー殿、よくぞこの短時間で仕上げなさいました。」

勇者「心許ない!心許ないよ!布の服なんて旅立ち以来だよ!」

側近「さあ勇者殿。こちらへ。」

勇者「装備を取り上げてこんな動きにくい服に変えてから戦おうなんて、なんて卑怯なんだ魔族!」

側近「さ、お掛けください勇者殿。」

勇者「くっ!体が勝手に椅子に!なんだこれは!膝に白いナプキンが!」

側近「食前酒です。」

勇者「毒が入ってるんだな!?でもボクのレベルではもう状態異常なんてかからないぞ!あ、このスパークリングワイン、すっきりとした飲み口ですごく飲みやすい。」

側近「前菜の白身魚のカルパッチョでございます。」

勇者「む!スズキに玉ねぎとトマトを小さく切ってバルサミコ酢と塩、胡椒とオイルで和えてるものをかけてるんだな!?酸味で食欲をそそらせようという魂胆か!」もぐもぐ

側近「続いて、薄切りハムとレタスのサラダでございます、」

勇者「ハムとレタスだけをタイトルにつけながら、彩りを考えて刻んだオリーブをパプリカ、それをドレッシングに!ボクがピーマン嫌いだったらどうするつもりだ!?それから……隠し味にりんごのすりおろしだと……!?」ぱくぱく

側近「キャロット・ポタージュです」

勇者「とろりと濃厚なのに人参特有の臭みがなくてほんのり甘い!生クリームとミルクがくっ、やさしい……!」ごくごく

側近「パンをどうぞ。」

勇者「焼きたてだ!外はぱりぱりなのに中はふわっふわでもちもちだ!それに、小麦を真っ白に精製してるんだな!パンひとつになんて贅沢な!」もっきゅもっきゅ

側近「本日の魚料理です。」

勇者「これは!鮭に小麦粉をまぶしてバターで焼いてるんだな!?ムニエルだ!皮がぱりっぱりでソースにもバターの風味が効いている!そしてこの鮭!脂がのりすぎず、かといってすくなくもない!口の中でほろほろと崩れていく!」まぐまぐ

側近「ソルベをお持ちしました。」

勇者「次の肉料理に備えて、一度口の中をリセットさせるつもりか!くうう、さっぱりしたレモンのシャーベット……!酸味がとげとげしていない!ずるい!」

側近「続いて、肉料理です。本日は仔羊をご用意いたしました。」

勇者「羊は臭みがあるのに、そうか!スパイスとハーブをよく擦り込んで、おまけに香草を焚いた火で焼いているのか!ラムが柔らかい。それからソースが甘酸っぱいのは、オレンジかな?」もぐもぐごくん。

側近「お口直しにチーズをどうぞ。」

勇者「フレッシュチーズが中心だね。なるほど熟成したクセの強いチーズは、好き嫌いがあるもんね。それに、フルーツが一口大にカットされて食べやすい。」ぱくぱく。

側近「デザートをどうぞ。」

勇者「チョコレートのムースだ!濃い!そして甘い!あっ……ラズベリーが中に!?そうかチョコレートだけでは口の中で飽きちゃうところをラズベリーをアクセントにすることによって変化をつけているんだな!」

側近「紅茶とコーヒ」

勇者「コーヒー!ミルクとお砂糖はいらないよ」

側近「かしこまりました。」

勇者「うん、いい香りだ。味もいい。いい豆を使ってるね?」ズズー

側近「こちらがコースの最後となります。」

勇者「プチフルールだ!小さなケーキにイチゴやスグリの実が宝石みたいだ。甘酸っぱくて美味しいよ。」けふー。

側近「お褒めに預かり光栄です。我らのシェフも喜ぶでしょう。」

魔王「何をやっているのだお前たち。」

側近「魔王様!ごらんください。勇者殿にご満足いただけました。」

魔王「もてなせ、と私は言ったな。そーか。そうだよな。もてなしているな。言葉通りな。」

メイド「ええ、魔王様。これで、勇者殿の心も魔王様、貴方様のものでしょう。」

側近「いやあ、わたくしも驚きました。散々魔界の姫様がたを袖になさったと思ったら、おん自ら花嫁候補をお連れになりますとは。魔王様と勇者殿のお子であれば、さぞや立派な」

勇者「えっ!ボクのこと、そんな風に思ってたの!?まいったな、えっと、まずはおともだちから////」

魔王「まんざらでない顔をするな勇者!なんなんだお前たちは!」

側近「何、とおっしゃいますと……」

メイド「魔王様の忠実なしもべと」

勇者「こ、恋人候補です!////」

魔王「」



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