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パートタイム・ウィッチーズ3


謎のハートと謎の星と謎の光が芽衣を包み、服が消えて服が出る。
謎のポップな音楽が流れ、背景に謎の薔薇が咲き散る。
ショートボブのブロンドから色素が抜けて、腰まで伸びてプラチナ色に。
しゅるんきゅるんと金のリボンでツインテールでまとめ上げられ。
全自動で化粧が施され。
じゃっじゃーん。
とんがり帽子に、胸元にキラキラと主張するペンダント。
ふんわりと広がるフリルとレースのミニスカートに薄手のニーソックス。
コスチュームの何もかもが純白で、童話に出てくる雪の妖精もかくやというような神秘的な雰囲気。
芽衣の変身に合わせて多少等身の高くなった自称妖精は、ふんわりと微笑む。
「すばらしい。ウイッチのなかでも、高貴にしてもっとも強い力を持つ光の魔女ですの。」
いろいろと忙しいその間おおよそ10秒。
光と曲とが静まると、魔女っ娘が眉間にシワを寄せて立っていた。
「ナニコレ」
「あなたこそ、伝説のキャンディー・ホワイト。」
みっし。
耳にはいるや否や、白いブーツの底を、そう語る人外の顔面に躊躇うことなくめり込ませた。
「許可なく語り継いでんじゃないわよ。あとそこ!笑ってんじゃない!」
何時の間にか手にしたカップのコーヒーが波打つほどに笑うので、びし、とファンシーでマジカルなステッキを真斗に突きつけておく。
「芽衣さん。そんなに脚をあげると見えますよ。」
「わ!?」
自称妖精から慌てて脚を下ろすと、短いスカートをおさえる。
「白。」
「しねえ!」
杖から出た稲妻を片手であっさり受け止め霧散させ、変身した芽衣をまじまじ見つめる。
「可愛らしいですよ。よくお似合いです。」
「笑いながら言うなっつってんでしょ!?」
怪光線や火球や颶風の一通りを浴びせては打消され浴びせては打消され。
肩で息をしソファにもたれ掛かる芽衣。
「避ける素振りくらいしなさいよ……」
「部屋の中ですからねえ」
そんなやりとりをぽかんと見ていた精霊は、我に返って鼻血をティシューで拭いながら、健気に仁王立ちした。
「さあ!キャンディー・ホワイト!おゆきなさい!」
「おだまり。」
「きゃいん。」
謎のビームが当たると、今度は兎だか熊だか判別しかねる喋って動くぬいぐるみに早変わり。
「よし、大体使い方はわかったわ。」
「芽衣さんて時々ヒトの道から外れますよね」
「うう、キャンディー・ホワイトの想定キャラクターと本人の性格があまりに乖離してるんデスの。……なにしてるんデスの?」
ごそごそと、スカートの下にジャージの下を着込み、マジカルポーチから重火器を引っ張り出すのに忙しい。
「いや。火薬と弾丸の総量を把握しておかないと。あとパニエからパンツ見えるし。」
「いろんなものが台無しデスの!?」
やー、そろそろあっちもピンチみたいだしねー。と、魔法で強化したゴーグルで塔の方を見やると、ぬいぐるみがパニックで泡を吹く。
「ウィッチーズが!」
見えるのは、少女たちのカラフルな衣装が、襤褸のように横たわる姿。
「帰りにコンビニでからあげちゃん買ってくるねー」
「行ってらっしゃい芽衣さん。」
散歩にでも出かける気楽な口調で、ベランダの柵に足を掛け、ぬいぐるみの首根っこを引っ掴み、サーフボードのような板を浮かせてジャンプした。
「いーやーっほー!」
「ひいいいいいいいこーーーいうんじゃないいいいい!?」
ぶら下がったぬいぐるみから聞こえる悲鳴はひとまず無視することに決め込んで、芽衣は風を切った。

「ああおかしい。これで、貴様らウィッチーズも終わりだな。」
女幹部は、初の勝利に酔いしれていた。
マントをばさりと跳ねあげて、いかにも悪の女幹部然としたコスチュームと蛇の姿の体下半分を露出させると、高く宣言した。
「さあ、とどめだ魔女共!」
三色の魔女ッ娘は、なんとか力を振り絞り、立ち上がろうとするも、その力すら、もはや残っていなかった。
「くやしい……。」
この半年間のキャンディー・ウィッチーズとしての戦いが脳を駆け巡る。
巨大な怪獣が、足を振り上げ、少女達を踏み潰そうとするまさにその時。
女幹部は後頭部に受けた衝撃で前に倒れこんだ。
「げぐッ!?」
戸惑うように足を下げる怪獣。
「なんだ、いっ」
なんだ一体、と振り返ろうとして、再び、みたびの激痛に悲鳴をあげる。
がっ、ご、がごっ。
執拗に振り上げ、下ろされるのは
「マジカル金属バットー。」
魔力強化したそのへんのスポーツ用品店で購入した本来とは使い道の違う道具。
「貴様は!ウィッチーズ最強の戦士、伝説のキャンディー・ホワイト!?ちょっ……やめっ……痛」
あからさまにおろおろする怪獣と、打撲を繰り返されながらごろごろと、のたうつラミア型女幹部。
「やめぬと、この街の人間どもを絶望の渦に……ええい、ニンギョウよ!構わず街を破壊し続けるのだ!」
咆哮をあげ、巨大生物は塔から飛び降りて、手当り次第に暴れ回る。
「ははははは!追わねば、この街がめちゃくちゃだぞ!」
白い戦士は、手を一時止め、怪獣の走って行くのを見守ると、女幹部に向けてバットを構え直した。
「追わ……ないのか?」
戸惑いがちな女幹部に慈愛に満ちた笑顔を向ける。
「見ず知らずの誰がどうなろうと、私の知ったことだと思う?」
「ひっ!?」
私が行かなくても、新宮さん達が行ったみたいだしね、と心の中で付け加え。
「大体の傀儡ってのは、アタマ潰せばどうにかなるのよ。そんなわけだから、覚悟してねヘビ女。」
女幹部は、悟った。
あ、この人、正義じゃなくて、私怨が原動力なんだ。と。
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