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緋色の魔女 6

台詞形式。緋色の魔女6
剣士「お前!」
医師「誰かと思えば、お姫様付の騎士、ビアズリー殿ではありませんか。なんですかこんなところで呼び止めて。」
剣士「まさかお前、姫様に狼藉を働いてはいなかろうな!?」
医師「何をヒートアップしてるんですか。僕は何もしていませんよ。ほとんど。」
剣士「そ、そうか。疑って悪かったな。」
医師「ええ。結局キスしかちゃんとしてませんでしたし。」
剣士「キ、キ……!?」
医師「消化不良なので今からコレット夫人の邸です。道を開けてください。邪魔ですよ木偶の坊。」
剣士「でくの……姫様のく、唇を奪っておいて何もしていないだと!?」
医師「僕からは手を出したりしてませんからね?お姫様が強請ったので仕方なく」
剣士「そんなはずがなかろう伯爵家の放蕩息子め!今日こそ叩き斬る!」
医師「許すとか許さないとか。貴方が決める立場じゃないでしょうに。」
剣士「姫様を泣かせる外道の退治に関係あるものか!いざ!」
医師「オヒメサマを泣かせてるのが僕だったらこんなに苛つきやしませんよ」
剣士「剣を取れ!」からんっ
医師「……こんなもの、要りませんよ。」
剣士「いいから取れ!正々堂々戦い、お前を倒して姫様をお慰めするのだ!」
医師「あーそーですか。」ひょい
剣士「姫様をお守りするのが俺の使命!デレク=ビアズリー、参……ぎっ!?」
医師「だったら護ってみせてくださいよ。」
剣士「ぐ、あっ」
医師「あれ?どうしたんですか。僕は鞘から抜いてすらいませんよ?」
剣士「が……が……」
医師「ああそうですよね。喉潰れちゃあ返事もできませんよね。」
剣士「か、はっ」
医師「しっかり護ってやらないから、あんな言葉にああも簡単に頷いてしまうんです。」ポイッ
剣士「げほっ、げほっ」
医師「僕、ちょっと機嫌が悪いんです。あんまり絡まれると、いつもみたいに加減してあげられませんからね?」グリッ
剣士「ごほっ、ごぼっ」
医師「さようならビアズリー殿。次に会う時は、ちゃんと僕を倒してくださいね?でないと、大切なものが取り返しのつかないくらいに壊れちゃいますよ。」
剣士「ひ、め」



村娘「ダイジョブ?」
剣士「……まえ、…、あ……つ、が連…回し…い…田、舎娘、…か。」
村娘「声掠れちゃったね。センセイ、やりすぎだよ。」
剣士「あ、…いつ、は」
村娘「お城だよ。だって今日は、王子様の婚約パーティーだからね。」
剣士「……ー!」
村娘「うん、ずっと剣士さん、意識がなかったみたい。」
剣士「……」
村娘「ううん、そんなの無理だよ。繋ぎとめてなんて置けないよ。だって、センセイの恋人なんてウソだもん。センセイは、あたしのことなんか好きになってくれないよ。」
剣士「ー……」
村娘「センセイはね、お姫様がみたいに、生きてるひとが好きなんだよ。」
剣士「……」
村娘「剣士さんは、お城に行かなくていいのかな?」



従者「本当に、婚約を正式なものにするつもりなんだね。」
王子「今更そんなこと言うなんて、どうしたんだ?君も祝ってくれていたし、今日のパーティーも、全部君が手配してくれたよね。」
従者「あれは、姿を変えてこの城に潜り込んだ魔女だ。姿も、身分も全部嘘だ。」
王子「そんな嘘わかってるさ。」
従者「やめたほうがいいんじゃないかな。あんなドブネズミなど。」
王子「君がそんなことを言うとは思わなかった。本当に、今日は君おかしいぞ。君だって、彼女が良い娘だと認めたじゃないか。」
従者「ぼくは客観的な事実を言っているだけだ。魔女など、この国にも、この城にも、君にも相応しくない。」
王子「だが招いたのも、彼女を愛したのもこのわたしだ!それに、ハッ!魔女だって!?あんなにか弱い女の子が!?それに身分を偽っているのは君だってそうじゃないか!身分どころか性別まで」
従者「黙れ!ぼくが、わたくしが好き好んであなたの従者に甘んじていると思うのか!全部あなた方のせいではありませんの!あなた方が滅ぼした国の皇女など拾って、飼いならし、同情ごっこをするのがそんなに楽しいか!こんなときだけドレスを着せて、人前に晒して面白いか!」
王子「アレクシア。アレックス、どうしたんだ。なぜそんなことを。」
姫「わたくしがどんな想いであなたのお側に仕えていたか一度でも考えたことはあったか?」
王子「……!」
姫「いつもこうやってわたくしを着飾らせてあなたが招くとき、わたくしはいつかあなたに手をとっていただけることを望んでおりましたわ。」
姫「でも、あなたはいつだってわたくしを見てくれることはなかった。だから、ぼくは従者として君の傍にいて、いつかわたくしを求めてくれることをほんの少し期待していたんだ。」
姫「あなたが初めて恋の話をしたとき、わたくしはとても苦しかった。」
姫「だけどぼくは従者として、わたくしの気持ちを抑え込んで、アンディ、あなたの望むままに動こうと決めたんだ。だから、君の恋が成就するように、走り回ったんだよ?」
姫「あなたが愛した姫君ならばと身を引こうと決めたのに」
姫「それの正体が、偽りだらけの魔女だなんてどうしても許せない。」
姫「でも、あの子はとても良い子だった。身も心も美しい、姫君に違いなかった。」
姫「もしあれが噂通りの悪い魔女で、貴方の気持ちがあれの術に惑わされた偽りだったらどんなに良かったか。」
王子「アレックス、君がそんな風に思ってくれていたなんて。だって君一度もそんなこと。」
姫「お願いだからあれを愛してるなんて言わないで。わたくしのそばにいて。行かないで。」
王子「アレクシア。すまない。わたしは」
姫「殿下……!どうかお願い……!」
王子「アレクシア、君の気持ちはとても嬉しいよ。だけど、わたしが愛してるのは彼女だ。イヴァンジェリンなんだ。」
姫「…………!」
姫「それなら、仕方がありませんわね。」
王子「アレク、君なら理解してくれると思っていたよ。」
姫「…………殿下がいけないんですからね?」
王子「君、何をして」
姫「わたくしを選んで下さらないから」
王子「その瓶の中身はなんだ。ち、近寄るな。」
姫「殿下は、わたくしの、もの」
王子「んむ……!?」
姫「ぺろっ……」
姫「さあ殿下。貴方がこの世で一番愛しているのはだあれ?」
王子「……君だ。アレクシア。」
姫「殿下はこれから、誰との婚約を発表するの?」
王子「わたしは君と、結婚するんだ。アレクシア。」
姫「あら。貴方が愛しているのは別の女性ではなかったの?」
王子「誰のことだい?わたしが愛しているのは、君だけだ。」
姫「そう。それでいいのよ。アンドレアス。」



医師「幸せそうですね、イーヴァ。」
魔女「ええ、とても幸せ。だって、こんなこと、考えたこともなかった。」
魔女「だって、私は禁断の森の魔女で、ずっと独りで生きて、死ぬんだと思ってた。」
魔女「一人の人間として認められて、一人の女として誰かに愛されるなんて、本当に夢のよう。」
医師「綺麗ですよイーヴァ。」
魔女「ドクターには、本当に感謝しているわ。」
医師「僕も貴女に感謝しているのです。イヴァンジェリン。イーヴァのおかげで、全部うまくいきそうですから。」
魔女「?」
医師「おや、もう始まっている時間ですね。イーヴァ、会場へ行ってみてはいかがですか?」
魔女「ええ。そうするわ。遅れたら、アンドレアス様にご迷惑になってしまいますものね。」
医師「もしも、ここから逃げ出したくなったら、僕の馬を裏に繋いでおきますからね。」
魔女「こんなに幸せなことから逃げ出したくなる、なんて。変な事言うのね。」



王子「今宵は、よくお集まりくださった。」
王子「それでは、みなさんに紹介しよう。わたしの妃となる女性……」



魔女「もう始まってる。アンドレアス様、お呼びくだされば良かったのに。」



剣士「……!」
村娘「うん。そうみたいだね。アンドレアス王子様と、アレクシアお姫様の婚約発表だってみんな言ってるね。」
剣士「!」
村娘「そうだよねー。イヴィとあんなにラブラブだったのに、なんでだろ?」
剣士「……!!」
村娘「おっけーいこー!」



王子「アレクシアだ。」



魔女「ッ!?」



姫「御機嫌よう皆様。今宵はわたくしたちの婚約パーティーにお越しいただき、本当にありがとうございます。」
姫「こんな幸せなことはありません。」
姫「あら?そちらにいらっしゃるのは、先日のパーティーで殿下と踊られた姫君ね。貴女も祝福しに来てくださったのかしら。」
魔女「……アレクシア姫様、アンドレアス様。」
王子「やあ。こんばんは。君も楽しんでゆくといい。」
姫「どうしたの?姫君、どうしてそんなに動揺していらっしゃるの?まさかわたくしたちを、祝福してはくださらないなんて仰らないわね。」
魔女「……あ……おめでとう、ございます。アレクシア様、……アンドレアス様。」
王子「ありがとう。」
魔女「……アンドレアス様は、お幸せですね?」
王子「ああ。愛する女性を妻に迎えるんだ。とても幸せだよ。」
魔女「そう、ですか。とても、おふたりはお似合いの、ご夫婦になられると思います。」
姫「わたくしの気持ちが、少しはおわかりになって?」
魔女「……あの、私……」
王子「ところで、アレクシア。このひとはたしか」
姫「え、ええ。伯爵家のお嬢様よ。」
王子「綺麗な方だね。」
魔女「!」
王子「ああ、こんなこと、失礼だったね。」
姫「……」
魔女「アンドレアス様……」
姫「…………」
王子「イヴァンジェリン……?」
姫「殿下!」
王子「あっ、すまない。女性の手を握ったりして。」
姫「…………」ギリッ
姫「!」
姫「あら、姫君の髪の色が……」
魔女「な、なぜ今元に!?」
王子「あかい、かみ……?」
姫「魔女だわ」
王子「魔女?」
姫「塔の魔女よ!」
ざわざわっ
王子「赤い髪の、魔女」
姫「伯爵家の令嬢に化けて、この城に潜り込んだのね!」
魔女「あ……」
姫「わたくしたちを妬んで、このパーティーをめちゃくちゃにしようって魂胆なんだわ!」
魔女「私、そんな」
姫「怖いわ、アンドレアス!」
王子「大丈夫だ、アレクシア。安心して欲しい。兵を!」
魔女「どうしてなのアンドレアス様!」
王子「気安く呼ぶな、化け物め!」
魔女「きゃっ!」
姫「魔女が逃げたわ!」
王子「捕えよ!アレクシア、怖がらなくていい。しかし、とんでもないな。魔女が潜り込むなんて。」



魔女「馬、ドクターの馬だわ。」
魔女「兵が、追ってくる。ああ、スカートが邪魔だわ!」ビリビリ
魔女「お願い!塔へ!私を塔へ帰して!」
魔女「ありがとう、良い仔ね。」
魔女「速い。お城の馬をどんどん引き離して行く。」
魔女「っく……ひっく……ぐすん。」ごしごしっ
魔女「はやく、はやくかえりたいの……」

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