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緋色の魔女 5

台詞形式。緋色の魔女5
王子「と、いうわけなんだ。」
従者「では姫君は、お受けに?」
王子「通い詰めた甲斐があったというものだ。」
従者「ぼくはその間、いろいろと大変だったよ。」
王子「君には感謝してもしきれないね。」
従者「君が幸せならそれで良いさ。」
王子「今度、彼女を一度つれてくるよ。いろいろと見立ててあげて欲しい。」
従者「承知致しました。殿下。」



姫「また、お会いできて嬉しいですわ。」
魔女「畏れ多いことでございます。」
姫「そんなにかしこまらないで。貴女が殿下とご結婚なさったら、わたくしより上の立場になりますのよ。」
魔女「そのような!」
姫「殿下ったら、毎日毎晩貴女の惚気話ばかりしているんですの。妬けてしまいますわ。」
魔女「は、恥ずかしい」
姫「ねえご覧になって。こちらなんかいかがかしら。」
魔女「綺麗ですね。姫様によくお似合いになりそうです。」
姫「くすくす、いやだわ、貴女がお着けになりますのよ。」
魔女「えっ!?わ、私が!?」
姫「当たり前でしょう。貴女をお迎えなさる準備を殿下から申し付けられているんですの。」
魔女「!」
姫「耳まで真っ赤になって、お可愛らしい。」
魔女「ひ、ひめさま……」



剣士「姫様、俺は納得いきません!」
姫「何を言うの。殿下がお幸せならそれでよいではありませんか。」
剣士「しかし!王子がお小さい頃からおそばにいらしたのは姫様ではありませんか!」
姫「そんなこと、関係ないの。殿下の心を射止めたのは、伯爵家の御令嬢なのですから。」
剣士「あれは本当に伯爵家の娘なのですか?エルランジェ家に娘がいたなど一度も。それにそもそも、亡きエルランジェ伯も不審死で、伯爵家を継いだシアンとて……」
姫「世のくだらぬ噂を信じよと?」
剣士「はっ!いえ、失礼仕りました!」
姫「それに、あの方は他の貴族の娘のように、気位ばかりが高いわけでもなく、それでいて気品に溢れた立ち振る舞いに、深い知識。殿下に相応しい娘だわ。」
剣士「だからと言って、姫様にあの娘を着飾らせたり、話の相手をさせたりする王子の仕打ちはあまりに惨い!」
姫「仕方ありません。殿下はわたくしの気持ちなどにお気付きではいらっしゃらないのですから。それに、話してみてもあの女性は良い方よ。わたくしはけしてのお方に叶わない。」
剣士「そんな!」
姫「……殿下がお呼びだわ。」
剣士「お待ちください姫様!姫様!」



王子「以前より、明るい顔をするようになったね。」
魔女「そうかしら」
王子「ああ。……城でもこうして君の本当の姿を見ていられたらいいのに。」
魔女「だめよ。」
王子「やれやれ、あそこじゃあ、ふたりきりになれる機会なんてないからね。わたしたちは婚約したというのに。」
魔女「だからこそなのではないかしら。王子様に何かあったら大変だもの。」
王子「その割には、こうやって簡単に城を抜け出せるがね。」
魔女「わるいひとね!」
王子「嫌いになった?」
魔女「そんなことないわ!大好きです。」
王子「ふふふ。良かった。」
魔女「でも、こう頻繁にお城を抜け出しては、大騒ぎになっているんじゃないの?」
王子「わたしの従者は優秀だからね。子供の頃から、時折わたしの代わりにわたしの振りをして仕事をしてくれるのさ。」
魔女「従者様は怒らないの?」
王子「いつも親友の頼みだと言って許してくれるんだ。」
魔女「お友達なの?」
王子「子供の頃からの付き合いで、兄弟みたいなものさ。君も会っただろう。」
魔女「?」



姫「殿下は、幸せそう。」
姫「わたくしの願いは、殿下の幸せのはずなのに」
姫「この気持ちは、なに?」



王子「どうだ。彼女は可愛らしいだろう!」
従者「ああ。君がそうして鼻の下を伸ばすのも無理はないな。」
王子「そうだろうそうだろう。最高に可憐だろう。」
従者「嫌味も聞こえないかアンディ。」
王子「アレックス、わたしは彼女との結婚が待ち遠しいよ。」
従者「君は真実に彼女を愛しているんだね。」
王子「当たり前じゃないか!良い娘だろう。」
従者「確かに良い子だったよ。良い子だった。」
王子「君ならそう言ってくれると思っていたよ。」
従者「しかし……彼女の髪の色は」
王子「そうか。君にはわかってしまうんだね。」
従者「あれは、塔の魔女なのか」
王子「ああ。彼女が、前に話した、塔でわたしを救った娘だ。」
従者「アンディ。」
王子「わかってる。だけど、わたしは。」
従者「アンディ、あなたは自分の立場を考えるべきだ。あれは魔女で、伯爵の妹というのも嘘だ。」
王子「それもわかってるさ。だが、わたしは彼女を愛してしまったんだ。」
従者「言うと思ったよ。ぼくに王子様を止める権利もないし。」
王子「ありがとう、アレックス。」



姫「苦しい。胸が。」
剣士「姫様!?」
姫「エルランジェ様を呼んで頂戴。」
剣士「あの若造ではなく、信頼できる医者を呼びましょう」
姫「いいから!エルランジェ様を呼んで!それから、エルランジェ様がいらしている間、誰もわたくしの部屋に近づいてはなりません。いいですね?」
剣士「あの者が姫様に何をするかわかったものでは」
姫「これは命令です!わかったら早く呼んできて!」



剣士「あやつが姫様の部屋に入って長い。長すぎる。」
剣士「姫様は一体どうされてしまったんだ。まさか魔女が妙な呪いでもかけたのでは!」
剣士「確か、次の満月の晩、王子が婚約者のお披露目をするとか言ってたな。」
剣士「何か妙な真似をしたら、すぐに抑えられるよう、警備の強化だ。」



姫「貴様にしかこんなこと、頼めないからな。……んんっ!」
医師「光栄です、姫君」ちゅっ
姫「ふ、は……っなぜ魔女などと殿下を引き合わせた。ひ、ん!」
医師「僕は、ただ、一組の男女の恋を叶えて差し上げただけですよ。」
姫「愛のわからぬ貴様が、か?……ぁ」
医師「なかなか難しいですよね。だからこうして学ぼうと努力しているわけです。僕は、努力家ですから。」
姫「なにを企んでいる……ぃ……きゃぅっ」
医師「大事な大事な王子様が、横から掠め取られたのがそんなに悔しいですか?」
姫「貴様ぁ……ふ、あっ」
医師「僕や彼女が彼の精神に、なんの干渉もしていないのが分かってしまって、また苦しくて仕方ないんですね。」
姫「……!」ギリッ
医師「あれほど傍に居ながら、気にもかけて貰えないなんて」
姫「や」
医師「お可哀想ですねえ。」
姫「やめ」
医師「もし彼が彼女を迎えても」
姫「やめ、てぇぇぇ……!!」
医師「貴女は、今のまま」
姫「聞きたく」
医師「あの方の忠実な下僕として」
姫「ない」
医師「ずっと仕え続けなければならないのですから、ね!」
姫「……ッ!ああ、やだぁ……ん……ぅ」
医師「なら、高い声で鳴きなさい」
姫「あっ……それ、だ……め……ッ!」びくんっ
医師「貴女の想い人に声が届くくらいにね」
姫「ひっ、あ!ふぇ、えぅっ……」
医師「…………。」
姫「は……ぁはぁ……ひくっ……ぐすっ……ひくっ」
医師「あー……。」
医師「やめませんかやっぱり。」わしゃわしゃ
姫「……ばかめ。もっと罵ってくれ。……ぐすっ。ひくっ……もっと酷いことをしろ。髪を撫ぜるな。」
医師「僕は好きな子は苛めて泣かせるほうですが」
姫「貴様もわたくしではだめだというのか。あの女がそんなにイイか。」
医師「他のヒトが原因で泣いている女性は愉しくありません。」ぎゅーっ。
姫「ゲスめ」ぽすっ
医師「僕は貴女にとっての都合の良い異性だから選んでくれたのでしょう」ナデナデ
姫「ゲスならゲスらしくもっとわたくしを傷付けろ。優しくするな。抱きしめるな。ん、ふぁっ」ちゅ……
医師「ほら、ね。好きでもないモノと躰を重ねたとて、虚しいだけですよ?」
姫「はーっ、はーっ、それでいいんだ、やめるな。壊してくれ。堕としてくれ。」
医師「……嫌です。貴女は僕が『そう』するには清らかすぎる。」
姫「それなら貴様が穢せばいい。」
医師「……そんなに王子が欲しい?」
姫「欲しがったって手に入らないことはわかっている。だからこうして」
医師「自分を貶めることによって、王子を諦めようとしているんですね?」
姫「わたくしに価値がなければ、殿下がわたくしを選ばないのは当然だと、諦められる。」
医師「……。」ナデナデ
姫「愚かだろう。本当はわたくしは彼が欲しくてたまらないのだ。あの突然現れた娘がああも容易く殿下の心を攫っていったのが、堪らなく哀しくて仕方がないのだ。」
医師「……」
姫「幸せそうな2人を見ていると、胸が苦しくてたまらないのだ。」
医師「……叶えてさしあげましょうか。」
姫「何をだ」
医師「貴女はただ首を立てに振りさえすればいい。」
姫「貴様、は」
医師「そうすれば、貴女の欲するものは、全てこの僕が与えてさしあげます。」
姫「殿下の心を、わたくしに?」
医師「魂でしょうが肉体でしょうがご随意に。」
姫「…………できるのか、そんなことが。」
医師「姫巫女様、貴女の御心のままに。」
姫「………………」こくんっ

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