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びーえるってこうですか。わかりません!

酔った勢いで初びーえるに挑戦してみた。
むりだった。

書いてみたので以下。



「陛下。御渡りになる部屋をお間違えです。」

疑問系ですらなかった。
忍び込んだ閨の主は冷たく言い放つ。
構わずに、服のボタンに手をかければ、長い脚が飛んでくる。
「仮にも一国の王の顔を足蹴にするとは良い度胸だ。誉めてつかわす。」
胸のボタンまでたどり着いた手は背中の方に捻りあげられ、
相手との立ち位置がそっくりと入れ替わる。
「光栄です。ですが、王をお諫めするのも僕たち臣下の務めですから。」
いつも通りに変化のない白い相貌は、ランプの光に嘗められ、ぞっとするほど美しい。
「おお家来の分際で、王を押し倒すとはなんと短慮なことか。」
同じ調子で返せば、腕を締め上げる力はさらに強く、指は曲がってはならない方向に。

「いだだだ痛い。痛いぞオイいい加減離せやコラ。」
ついに音を上げると、呆れたような溜め息と共に、腕の力が弛む。
「こんな真夜中に、王族がひとりで出歩いて御身に何かあったらいかがなさるのです。」
弛んだ拍子に放り出され、敬意のこもっていない敬語が頭の上に降ってくる。
「こんな真夜中でもなければ、俺様のような王族は自由に出歩けないだろうが。」
ベッドに登り胡坐をかき、到底民草には見せられない態度で、到底ほかの人間に見せられない態度で受け答える臣下を睨みつける。
「では王様、あなたがこのような愚行をされる偉大なる理由を、お聞かせ願えますでしょうか。」
大仰に跪き、慇懃無礼な口をきく。

「それは決まっているだろう。愛しいオマエを抱きにさ!」

空を飛ぶ水差しは間一髪で避けた。白磁のカップは額に赤い印を刻んだ。
「それならば王。やはり御渡りなさるお部屋をお間違えでございます。この僕が手配致しました後宮は、未だお気に召さぬと仰せでしょうか。」
変化に乏しい臣下の表情が、一瞬曇ったように見えた。
「それとも、以前陛下が目に留められた地の花を手折って参りましょうか。」
その提案は気に入らないと示すため、眉間に皺を寄せる。
「その地の花とやらは、以前オマエ自身が欲しがって、オマエでは手が届かなかった花であろうよ。」
叶わぬ恋の相手を自分に献上されても、どれも手に入れる気になれぬ。
「オマエの愛情表現は屈折している。俺様はオマエの欲しいものではなくオマエ自身が欲しいんだとオマエを傍に置いた時から言っておるであろう。」

面をあげよと命じ、不意をついて額に唇を触れさせる。
額から頬に、頬から唇に移動しても、
「顔色ひとつ変えやがらねェってのは可愛げがないぞ。」
顎に手をかけ引き上げ、肩の辺りを軽く押すだけで、抵抗はほとんどなく、王の側近は床へ崩れる。
「陛下はまだ即位したてとは言え、王家を存続させるには、陛下の・・・王家の血の継続が必要でございます。だからこそ、陛下には僕の用意した相手・・・相手と・・・相手と婚姻を結び、お世継ぎを・・・」
「おー。床と俺様の間に挟まれながらも、自分の職務を全うしようとする心がけは殊勝である。あと世継ぎのことなら心配するな。叔父上にはたしか隠し子がいて、それが俺様の従弟に当たるはずだから、アレに任せよう。直系とは言えんかもしれぬが、まあそれはそれだ。俺様が寵愛するのがオマエでも何の問題もなくなったな。」
臣下を組み伏せる際に、同時に灯りを器用に消す。

暗闇の中、自分の下から全てを諦めたような声が返ってくる。
「陛下がお戯れに付き合えと仰せならば、僕は逆らえる立場ではございません。」
「嫌と申してみよ。聞き届けてやらないこともないかもしれぬぞ。しかしそれにしても、このように簡単に部屋に侵入を許すというのもどうなのだ。我が側近として情けなくはないか。」
完全に抵抗をやめた臣下の服の紐を手探りで解きながら楽しげな声で言う。

「何を仰います陛下。貴方の優秀なる側近が、何者が何の目的で侵入してきたかわからないとでもお思いですか。」

澄ました声は、耳元で聞えた。


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