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三代目の憂鬱 魔王、戦いを決意する。

月のない夜。闇夜にいっそう暗い黒色が渦巻いた。
宙に墨を流したような。

黒が収束し人の形をとる。
肌は雪よりもなお白く、髪は黒檀よりもなお黒い。女とも男ともつかぬ端正な容貌。
気品のあるその立ち姿は、どこか浮き世離れというよりも人間離れして。
細身を包むは、金と銀との刺繍とレースの装飾の華美な黒服。

ここが貴族の屋敷か城で、夜会でも開かれていれば、これほど相応しい身形もあるまいが、
人影の立つのは累々と魔物の死体の横たわる荒野であった。
暗さゆえ、凄惨さは緩和されているように見えるが、濃い鉄錆の臭気に、表情を歪める。

「ひどいな」

傍らの女に向けてか、独り言なのか、低い声で彼―――魔王は呟いた。
側近の女は身を震わせた。

「これを―――たった四人で?」

魔王は頷くと、震える女を労わるように彼女の肩に触れた。
女は、涙が頬を伝うのを感じながら、一番近くに転がっていた、かつて同族であったものに手を伸ばした。

「勇者とは、なんて酷いことをするものでしょう。」

このあたりの魔物が、彼らの船賃に必要な鉱物を彼らが持ちやすい形で所持していたから。
たったそれだけの理由で、この惨状がうまれた。
どうしようもない怒りと悲しみに包まれ、魔王の側近である女は囁いた。

「魔王様、どうか二度とこのようなことが起きぬよう―――我らを御守りくださいませ。」

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theme : ファンタジー小説
genre : 小説・文学

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